当協会は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が科学技術の学びを通して日本とアジアの若者同士の交流を深めることを目的として行っている「さくらサイエンスプラン」を活用して、東南アジア諸国や中国からの学生の来日研修を行っています。
今回も2019年10月25日(金)から10月31日(木)までの7日間、インドネシアから17名の学生(含引率者)を受け入れ、日本の科学技術についての知識を深めてもらうべく、様々な研究施設や技術館の見学、さらには日本についても関心を持ってもらうため、日本人学生たちとの交流などを実施しました。
インドネシア現地から、学生の選抜や当協会とのやり取りなどを行ってくれたのは、当協会と長年の交流を持つAJAFA-21(JICA青年研修帰国生同窓会組織)のインドネシア機関であるKAPPIJA-21(カピジャ)です。
かつて日本で研修を受けた彼らは、自分たちが日本で刺激を受けて多くのことを学んだように、今の若い世代にも日本で研修を受け、たくさんのことを学んできてもらいたいと考えています。
さくらサイエンスプラン(インドネシア)概要 | |
実施期間 |
2019年10月25日(金)~31日(木) 7日間 |
対象者 |
インドネシア人高校生(男性7名、女性6名)、大学生(男性1名、女性1名)、同行者(男性1名、女性1名) 合計17名 |
現地協力機関 |
KAPPIJA-21(JICA青年研修インドネシア人帰国生同窓会組織) |
内容 |
科学技術に関わる展示館や研究施設の見学・講義、日本人高校生・大学生との交流、日本文化や生活の体験など |
【羽田空港へ到着】
ジャカルタを前日深夜に出発し、東京・羽田へ25日の朝に到着しました。
7時間のフライトで少し疲れていましたが、30℃以上のジャカルタと違って、この日は雨で冷え込んでいた東京にビックリ!
しっかりとジャケットを着て、いざ日本での研修がスタートです。
【日本科学未来館】
東京・台場にある日本科学未来館を見学しました。
科学技術、ハイテク設備などの展示、Asimoの実演などに興味津々。
日本未来館のように大規模な展示館はインドネシアにはないようで、時間を忘れて各フロアを見て回っていました。
【歓迎夕食会】
当協会の理事らにもお越しいただき、歓迎夕食会を開催しました。
インドネシア人参加者たちは、インドネシアの伝統的な衣服「バティック」に着替えて参加しました。
終始和気あいあいとした雰囲気の中、食事を楽しみ、初日の緊張も少しほぐれたようでした。
【TEPIA先端技術館見学】
2日目からは、過去に海外研修GETに参加してくれた日本人学生たちも参加し、インドネシア人研修生との交流を楽しみました。
GETを修了した高校生・大学生の中には、GETをきっかけに国際交流により関心を持つようになった学生も少なくありません。
国際交流イベントやその他研修会などに関心のある学生らに呼びかけ、またこのような国際交流の場を通して多くのことを学んでもらえればと考えています。
TEPIA先端技術館では、プログラミングやVR機器などの体験ができます。
研修参加者は科学技術に関心のある高校生・大学生ばかりなので、楽しみながら体験できるTEPIA先端技術館に大満足の様子でした。
【科学技術館見学】
午後は東京・竹橋にある科学技術館を見学しました。
ここでは、5階まである様々な体験型ブースで、科学を学ぶことができます。
【巨大シャボン玉体験】
多くのブースではこのように実際に体験しながら、身近な科学について学ぶことができます。
【江戸東京博物館見学】
東京・両国にある江戸東京博物館で、日本の歴史や伝統について知識を深めました。
昔の日本家屋や乗り物などの展示に触れ、江戸時代について興味が湧いたようでした。
特に、江戸時代から東京オリンピック開催時期までに問題になったゴミ処理について、「今の日本からは想像できない」「インドネシアも見習うべき」などといった意見がありました。
自国の問題点を認識し、他国の様々な事例から解決策のヒントを得ようとしているところが非常に印象的でした。
我妻(わづま)と呼ばれる伝統芸能も鑑賞しました。
日本の芸を間近で見ることができ、良い思い出になったようです。
【三菱みなとみらい技術館見学】
3日目は横浜で研修を行いました。
まずは三菱みなとみらい技術館で、飛行機やロケットなどの模型や発電技術についての展示などを見学しました。
【カップヌードルミュージアム横浜見学】
午後はカップヌードルミュージアムでオリジナルのカップヌードル作りを体験しました。
どのようにカップヌードルが作られているのかを、体験しながら学ぶことができました。
インドネシアでは毎日のようにインスタントラーメンを食べる人も多いそうで、身近な商品がどのように発明されたのか、興味深そうに展示を見て回っていました。
豚由来の成分が含まれているため、残念ながら食べられないそうですが、自分でデザインしてトッピングをしたオリジナルのカップヌードルは、良いお土産になりました。
【日本製鉄鹿島製鉄所見学】
日本の最先端の製鉄技術を学びに、日本製鉄株式会社の鹿島製鉄所を実際に見学させていただきました。
写真撮影などは一切厳禁ということで、防護服に着替えて実際に工場内部へ。
厚板をカットする工程を見学しました。
最高温度は約1,000℃にもなる鉄からの熱風に驚きながらも、インドネシアにはない効率的で最新技術の製鉄工程に興味津々でした。
総務部主査の高木様に、見学した製鉄工程について説明をしていただきました。
「強い力でカットするのになぜずれたり伸びたりしないのか」という質問や、日本製鉄が取り組む資源やエネルギーのリサイクル活動についても驚いたようで、多くの意見が飛び交いました。
【JRE美浦ソーラーパネル設備見学】
JRE(ジャパンリニューアブルエナジー)のソーラーパネル設備を見学しました。
インドネシアではあまり普及していない太陽光発電の設備やシステムについて知識を深めました。
【浅草散策】
この日のプログラムの最後は、浅草寺周辺の散策でした。
仲見世通りにある様々なお土産を見たり、浅草寺にお参りしたりしていました。
浅草の象徴である雷門周辺を散策しながら、日本文化への関心を深めました。
【研修中間振り返り】
研修も終盤になったところで、いろいろな施設を見学して学んだことや、日本に来て驚いたことや気付いたことなどを発表し合いました。
「日本は寒い」
「ジャカルタとは違い、東京は電車・地下鉄・新幹線が多く通っていて、複雑だけどすごい」
「展示館や博物館などがたくさんあって面白い」
など、様々な意見が出ていました。
【東京経済大学訪問】
東京・国分寺にある東京経済大学を訪問し、国際交流課のご協力のもと、マレーシア人留学生と日本人学生から大学生活についての説明を受けました。
なぜマレーシアから留学を決めたのか、なぜ東京経済大学を選んだのか、などの実体験やアドバイスを伺い、日本に留学したい思うようになったという参加者もいました。
大学構内も案内していただき、図書館、食堂、生協、などの施設を見学。
本を借りるシステムにも興味津々の様子でした。
国際交流センター、コトパティオで東京経済大学の学生さんたちと交流しました。
英語でのコミュニケーションも積極的にすることができ、ここでもまた多くの友人ができたようでした。
【夕食@インドネシア料理】
この日の夕食は待ちに待ったインドネシア料理!
もちろんインドネシアで食べるものとはまた違うかもしれませんが、日本で食べるインドネシア料理もまた美味しいです。
【株式会社リバネス訪問】
研究者ばかりのベンチャー企業リバネスを訪問し、「科学技術の発展と地球貢献を実現する」というビジョンについてお話を伺いました。
同社では、東南アジアでも科学技術に関する交流や事業を行っており、科学技術コンテストでのインドネシア人研究者の活躍が話題になると、みんな喜びと驚きの声をあげていました。
また、社内の研究施設やテレビ会議なども見学させてもらい、最先端の技術やテクノロジーに驚いていました。
【修了証書授与】
帰国を翌日に控え、この日は研修の最終日となりました。
当協会の小室理事より、さくらサイエンスプランの修了証書が手渡されました。
修了式と送別会には、当協会の理事の皆様はじめ、一緒に研修に参加してくれた日本人学生も多く参加してくれました。
インドネシアの各地の伝統衣装を身にまとい、最後の夜を華やかに迎えました。
たった数日だけの交流となりましたが、日本人学生ともすっかり仲良くなりました。
言葉や文化の壁を越えて、素晴らしい思い出となったことでしょう。
インドネシア人だけでなく日本人の学生も、6日間でたくさんの経験ができたことが、みんなの表情からも伝わってきます。
最後に全員で記念撮影!
同行の先生によるスピーチでは、
「さよならは言いません、また会いましょう!」
という言葉で、最後の夜が締めくくられました。
学生たちも、
「ジャカルタが恋しいけど、日本を離れるのは寂しい」
「インドネシアと違うことばかりで大変だったけど、楽しかった」
「絶対、また日本に来ます」
「日本で学んだことを帰国して友達にシェアします」
と、多くのことが学べたことや、再来日への意欲が伺えました。
【羽田空港を出発】
7日目の朝、名残惜しいまま宿泊施設をチェックアウト。
全員元気に羽田空港からジャカルタへ向けて出発しました。
17名全員、誰一人体調も崩さず、日本での研修を修了することができました。
今回の研修にご協力いただきました関係者の皆様、誠にありがとうございました。