■2020年2月18日(火)、六本木ヒルズ/ハリウッドホールにて「第11回若者力大賞表彰式」を開催いたしました。
■『若者力大賞』は、若者ならではのパワーと使命感と行動力を持って、自ら時代を切り拓き、同世代に夢と勇気を与えている次世代リーダー、及びその指導者(個人・団体)を顕彰することにより、次世代育成に対する社会的な関心を高め、その取り組みを推進していくことを目的に実施しております。
今年度の表彰式は、学生や社会人あわせて約190名の参加者が見守る中、今回の受賞者(5組6名)の方々によって、それぞれ感動的なスピーチが行なわれました。
■今回の授賞は、子供たちの将来を輝かせるために、子供たちのためにいまやってあげなければいけないこと、そうしたテーマに取り組んでいる受賞者が多かったのが特徴と言えます。
-(途上国の貧しい子供たちのための教育支援活動)
-(子供たちの世界から「いじめ」をなくすための活動)
-(若い世代(10代)の自殺を救う活動)
-(中高生に自分たちの未来にもつながるいまの高齢社会を考えさせる活動)、そして、
-(日本で暮らす外国人のための支援活動)
■いま世界的な脅威をもたらしている新型ウィルスの心配もあり、当日は、表彰式のあとに予定していた「交流会」を中止させていただきました。そのためもあってか、表彰式終了後には参加者の皆さんが受賞者を取り囲んでお話をする光景が、しばらく続きました。
以下、当日の模様と、受賞者の皆さんの受賞スピーチをご紹介いたします。
★審査委員(敬称略) 審査委員長 三村 明夫 日本製鉄名誉会長 当協会評議員会会長
審査委員 西尾 進路 JXTGホールディングス名誉顧問 同副会長
山中 祥弘 メイ・ウシヤマ学園理事長
橋本久美子 橋本龍太郎元首相令夫人
蛭田 史郎 旭化成相談役
永野 毅 東京海上ホールディングス会長
中村 公一 山九会長
社会には様々な課題が存在しています。しかし我々はその存在に気づいても立ち止まるだけで、なかなか一歩前に踏み出せません。その中で、自らの問題として課題を解決しようと、真正面から取り組む若者たちがいます。
しかし、社会課題の解決に挑むということは、そう簡単なことではありません。持続可能性がなければ、その活動は続かない。どうやって持続可能性を担保するのかというのも、彼らの役割の一つです。
この後の彼らの話を聞いて、まずは感動していただきたい。そして少しでも力を貸してあげられることがあれば応援してあげて欲しい。例えば、お帰りの後にご家庭や会社で、周りのみんなに話して伝えてあげるのも立派なサポートです。ぜひ、彼らの活動を理解し、若い彼らを少しでも応援していただきたいと願っております。
今回の実行委員会は、学生から社会人、過去の受賞者も含めて15名の委員で構成して発足いたしました。5月から7月まで推薦公募を行い、最終的に今年度は47組の応募がございました。
実行委員会において、選考基準をもとに数回にわたり評価検討を重ねて上位者を選考し、そのあと9月から10月にかけて最終候補者とおひとりづつ面談を行いました。そして最終の審査が11月、審査委員の皆さんによって行われ、今回の受賞者が正式に決定いたしました。
先ほど、受賞者と審査委員の皆さんが別室で懇談されましたが、受賞者の皆さんからは、力強い、希望にあふれたお話を聞かせていただいて、あらためて、私も「よし、がんばろう!」という気持ちにさせられました。この後のスピーチをどうぞお楽しみください。
【第11回若者力大賞・表彰式】
☆若者力大賞☆
**************授賞理由(表彰盾)**************
あなたは うまれた環境で学ぶことができない
途上国の子供たちを ひとりでも救いたい
その思いから 多くの企業を動かし
途上国の子供たちに勇気と喜びを与えてくれています
よってここに その努力と功績をたたえ 表彰します
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私は子供が大好きです。子供と接することに本当に喜びを感じています。今日も会場に小さな子がいてうれしくなります。
私が今の活動を始めたキッカケは、司会の方からいま映像でご紹介いただいたように、フィリピンのスラム街で、道端の縁石で一生懸命勉強をしている女の子を目にしたことでした。僕も勉強は好きでしたけど、さすがに家の外の縁石で勉強する経験はないですし、必ずそこには机があり電気があり、本や教科書とかいろんなものが揃った環境で育って、これは日本に生まれたということがいかに大きかったかと言うことを実感してきました。世界地図を広げて、そこにダーツの矢を投げたとして、この小さな日本の国に当てられますか?無理ですね。それぐらい日本という国に生まれたこと自体、私自身ラッキーだったと本当に思います。
日本に生まれたという運を、そのままただ受け入れるだけでいいのかという思いが私の中にはあって、それを何かに活かしたいと考えていたことが今の活動につながっています。
これまでの活動を示すのに、いろいろな数があります。何社、何ヶ国、何台とか。確かにこれも実績として大事なことですが、自分として大切にしてきたことはお金をかけずにできるモデルを作ってきたということです。使っていないものをリユースし、0から価値を生み出すことの喜びを感じてきました。
何もないことから新しいものを作るのは、子ども達が本当に上手いです。何もないからこそ子ども達は一生懸命考えて、その辺のものを使っておもちゃを作ったり遊びを作ったりします。この精神は大人になっても大切だと考え、事業に活かしていきたいと思ってやってきました。
人生を車に例えると、どんな車でもガソリン(エネルギー)がなければ動くことはありません。海外から日本に帰ってくると、日本に足りないのは、このエネルギーじゃないかといつも感じています。そして、そのエネルギーは子ども達や若者がたくさん持っています。私自身はもう34歳になりますが、希望を作ってくれるエネルギーのある若い人をどんどん増やしていくことが大事じゃないかと思っています。
今回の受賞は本当にうれしく思っています。次回は、もっともっと若い人たちに、この場に立ってくれるように願っていますし、そのために皆さんのお力を貸していただけたら、本当にありがたいと思っています。
☆ユースリーダー賞(1)☆
今日は家族も来ています。「すべる」わけにはいきません。(笑)
我々は普段学校で、「YES」&「心理的安全性」という2つのキーワードで、『いじめ』をなくすためのワークショップ活動を行っています。用意された台本通りのネタをやるのでなく、子供たちからネタをもらって、それを丸々受け入れて、新しい笑いを作っていく、ということをやっています。
今日もここで即興の漫才をやらせていただこうと思います。会場の皆様から3つのアイディア(言葉)をいただいて、それを使ってうまいオチを付けた漫才をやってみたいと思います。このうまいオチというのがミソなんですね。面白いかどうかは、別なんです。(笑)
それではどんな言葉でも結構です。思いついたらどうぞ。
(客席①)「ユースリーダー」
(客席②)「コロナウィルス」
もうひとつ。あっ!そこの少年。いいよ、何でもいいよ。(・・・・なかなか出ない。しばらく間があって)、
(客席③)「納豆!」 (笑)(笑)
ありがとう。ここが大事なところなんですね。つい周りの大人はせかしてしまう。でも、子供はいいアイディアを持っているんです。それを出すのを待ってあげることも大事なんですね。
それでは、いただきました。3つのアイディアで即興漫才を。
『え~、我々も若者として、ユースリーダーのひとりとして、やっぱ世の中のために貢献していきたいですね』『おっ!そうだね』『そこで社会に役立つことを思いついた。いま流行りのコロナウィルス。これを治したい』『なるほど』『それを研究してきた。で、それがどうやら、このコロナウィルスには納豆がめちゃめちゃ治りやすいということがわかった!』『ホントにぃ!?』『ウン!いつ、わかったかというと、コロナウィルスだけに、最近(サイキン)です』『うま~ぃ!!』 (笑)(笑)(拍手)
ここで終わると単なる芸人の賑やかしになってしまうので、ひとりづつコメントをさせていただきます。
**************授賞理由(表彰盾)**************
あなたは 高校の教壇に立つ傍ら 良き相棒とコンビを組み
子供たちの「いじめ」をなくすことに取り組み
健全で健康な笑いを伝えて
子供たちに勇気と喜びを与えてくれています
よってここに その努力と功績をたたえ 表彰します
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この賞は自分たちにとってゴールではなくて、これからのご期待だと受け止めています。ありがとうございました。
M1グランプリは5,000組から優勝者を決めます。こちらの若者力大賞は、何千万人という若者の中から選ばれたもので、これ以上にウレシイ賞はありません! (笑)(拍手)
私自身、小さい時に太っていることでイジられ、それが苦痛でした。それがあるとき、お笑い番組を見て、太ってるとかそんなコンプレックスを、むしろ武器にしているのを見て、お笑いの世界は欠点がすべて長所に変わる素晴らしい世界だと思いました。お笑いの力を使って、傷ついている子供たちを救ってあげたい、そんな思いを強くしたのが高校一年の時でした。それでお笑い芸人を目指しました。
大学の落研にスローガンが飾ってありました。『落研はみなが喜ぶ人のため。(中略)世界中、政治家も教育者もすべて大事なのは言葉だ。笑いを与え、勇気を与える。雄弁は人間にしかできない』
これまで延べで50,000人の子供たちに話してきました。これからも日本中のいじめや世界中のいじめ、人を傷つける笑いを、この社会からなくしていきたいと思っています。
**************授賞理由(表彰盾)**************
あなたは 障がい者への指導の傍ら 良き相棒とコンビを組み
子供たちの「いじめ」をなくすことに取り組み
健全で健康な笑いを伝えて
子供たちに勇気と喜びを与えてくれています
よってここに その努力と功績をたたえ 表彰します
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名誉ある賞をいただいて本当にありがとうございました。何がうれしいかと言うと、自分たちの活動が最初は、お笑いの世界でも学校でも全然理解してもらえなかった。学校には笑わせる教育はいらない、とも言われて苦しかったのですが、ナントか続けてきて、おかげで去年は100校を廻らせてもらいました。(拍手)
使っていい笑いと使っちゃいけない笑いがあるよね、ということを子供たちと共有しています。ある学校で、女の子が名前に動物の名前が入っていたので、それでからかわれていじめられていた。でも、それがイヤなことだと自分では思ってなかった。それが僕たちの講演を聞いて、イヤなことなんだと気づいたから、先生と友達に言えました。言えたら、気持ちがよくなりました。ありがとうございました。という感想文をもらいました。とても嬉しかったです。
これからも笑いの力を使って、こういった勇気を与えられた小さな物語を、学校の中に増やしていきたいと思っています。
☆ユースリーダー賞(2)☆
**************授賞理由(表彰盾)**************
あなたは 尊い命をみずから絶ってしまう悲劇を
身近にいる人々によって救うことができると考え
「自殺予防ゲートキーパー」を育てることで
多くの若い 尊い命を救ってくれています
よってここに その努力と功績をたたえ 表彰します
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高校を卒業し、大学に入ってからの18歳から30歳までの12年間、子ども・若者の自殺を予防する活動に取り組んできました。NPO法人Light Ring.は、平成生まれの10代から30代の若者達で活動をしています。この12年間で、多くの子どもや若者の「死にたい」という声、その声を身近でサポートしている友人や恋人や家族も悩みを抱えている実態に、多く遭遇してきました。
今、日本社会では年間2万人強の方が自殺で亡くなっています。全世代的には減少してきているのですが、その中でも10代の自殺者数だけは高止まりを続けています。現在、日本における「15~39歳の死因の第一位は自殺」です。そして昨年、「10~15歳の死因の第一位も自殺」と計測されました。これは、1978年以降、戦後初の極めて最悪な実態です。
10代など若者の自殺は、高年齢と比べると、唯一、本人の意思が分かる遺書さえない衝動的な自殺傾向が高いことが明らかにされています。だからこそ、自殺の背景や理由について、本人記録を根拠にした把握や分析ができず、有効な対策が実施されていません。私はこの活動を行う為に、精神保健福祉士の資格を取得しましたが、専門家の数には限りがあります。さらには、日常生活で「死にたい」と思っている人の異変に身近で気付いている人たちが、実は大きな支援可能性を有しています。
そんな身近にいる人が、いち早く異変に気付き、手を差し伸べて話を聞き、そして必要があれば専門家につなげていく、そういう『ゲートキーパー』の仲間が必要だと考え、身近な仲間を広めようと、東京を中心に全国で養成活動に取り組んでいます。
具体的にはソーシャルサポートの4つの観点から事業を展開しています。
1)悩み・ストレスへの効果的なセルフケア法
2)相談を受ける時の”ちょうど良い距離感”の測り方
3)「相談してよかった」と思ってもらえる傾聴スキル
4)深刻すぎる悩みを受けた時の対処法
小・中・高から専門学校、大学まで、これまで13,340名の方々がゲートキーパーの仲間に加わりました。現在、新宿区、港区と行政委託事業として連携しながら広めています。 2016年日本財団自殺意識調査から、若者の4人に1人が「本気で自殺したいと考えたことがある」と示しています。「死にたい」という気持ちは、身の周りにいる同世代の友人や恋人から「死にたいって、あるよね」と分かってくれる人がいるだけでも、問題は解決しなくても、自分の存在が認められ、解消に繋がっていきます。
彼らが求めているのは、抱えている問題解決よりも、自分の気持ちを分かってほしい、自分の存在を認めてもらいたい、その思いです。
Light Ring.は、こうした身近な人の力によって社会の問題を解決することができると信じ、今後も地域社会を担っていく『ゲートキーパー』を養成していきたいと思っています。この賞をいただいたおかげで、活動の方向性は間違っていなかったかもしれないと学生の皆も一緒に大きな勇気をいただきました。ありがとうございました。
☆ユースリーダー支援賞(個人)☆
**************授賞理由(表彰盾)**************
あなたは 高齢社会の未来を子供たちと共に考え
高齢者との触れ合いを通して
子供たちに 人にやさしい社会を気づかせて
大きくたくましく育ててくれています
よってここに その努力と功績をたたえ 表彰します
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さきほど、オシエルズさんのコント中に「納豆!」と言った子供の親であります。(笑)
私は医師です。がんの診療を主に担当しています。現在は自宅で過ごしたい方のために訪問診療をしています。昨今の抗がん剤治療はとてもお金がかかります。日本は皆保険ですから、今後の医療をどうするのか考えていく必要があると感じていました。ASEANの会議に出た時も、日本の医師は今後の皆保険で行う医療をどう考えているかと聞かれました。その時は、自分が考えていることしか答えられませんでしたが、もっと、こういったことを多くの人が学び、話し合う必要があると感じました。自分が周りの医師と比べて考えるようになったのは、研修医の頃に先輩からの教えがあったからだと気が付き、であれば自分も次の世代に伝えていくことが大事だと考えました。そこで中学生・高校生に対して、実際の医療の現場を体験してもらい、課題だと思ったことに対し、明日からできることを考えて実行するという会を6年前から文部科学省の委託事業をきっかけで、開始しました。
なによりうれしいのは、これからの人生を、医療にかかわることを覚悟して医学部に進学する生徒が、この会から数名出てきたことです。ただ、はじめは怖かったです。決して良いことばかりではない医療の世界を、自分はキレイに見せすぎてはいないかと思ったからです。しかし、志望した生徒からしっかりとした言葉を聞け、自分のライフワークとしてこれからも続けていきたいと思っています。
自分がいま課題だと思っているのは、孤立です。日本は長寿大国ですが、自殺の原因である社会的孤立はOECDで最下位です。長寿を願い実現し、今度は高齢化問題だと言う。高齢化問題の「問題」という言葉を付けない世の中にしていきたいと思っています。認知症。認知症がいけないんじゃない、認知症になった方々が、一緒に生活できない社会がいけない。そんな観念を持った医療や社会を作っていくことが大事じゃないかと思っています。
さきほど三村会長が社会のための活動は持続性が大事とおっしゃいました。私は、こういった活動は、医師がもっとやるのが良いと思っています。これからの社会課題が健康問題であることが多いので親和性が高いと思っているからです。CSRという言葉の「C」をコーポレーションでなくクリニックに置き換えて、今まで対峙してきた病気だけでなく、社会的な生活部分の維持・改善にも取り組む。そうすることで医師は病気を見てきた時代から、健康を守る時代に変わってくると感じています。そうすれば社会的な孤立が少しは減るのではないでしょうか?そうなるように周りの仲間たちにも呼びかけていきたいと思っています。
☆ユースリーダー支援賞(団体)☆
*************授賞理由(表彰盾)**************
あなたがたは 日本に暮らす外国人の方々の
暮らしのサポートに 日々取り組みながら
日本における文化共生社会の実現に使命感を持ち
外国人受け入れの架け橋となる活動をされています
よってここに その努力と功績をたたえ 表彰します
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素晴らしい賞を頂戴いたしまして法人関係者一同、大変喜んでいます。
20年前に留学生として日本に来た時は、知り合いが一人もいなく、日本語もほとんど話せませんでした。自分と社会との境界線がくっきりと感じられて、いつも孤独でした。そんなある日、道に迷って身振り手振りで道を尋ねたら、私の行きたいところまで連れて行ってくれた時、こんなに親切な人がいるんだと感動しました。それから日本語を一生懸命学びました。周りから聞こえてくる日本語をひたすら真似して、よく行く飲食店で「大盛一丁!」を覚えました。(笑)
大学に入って心理学を学ぶことになって、アメリカに行こうと思いました。しかし尊敬する恩師から、「一つの国の言葉と文化をマスターしてからでないと、どこへ行っても中途半端になる」と忠告を受けて、そのおかげで腰を据えて日本のことを学ぼうと思ったのです。
大学を卒業して日本の会社に就職し、上海に駐在してから日本に戻って子供が生まれた時、初めて、これまで感じたことのない焦りと不安に襲われました。赤ちゃんを連れて育児サークルに行ったとき、外国人と言ったら、瞬間にその場の雰囲気が変わったのを感じました。だんだんシンドクなってきて育児サークルをやめました。そこで、外国人同士のネットワークを求めるようになったのですが、そこでも驚くような声が聞こえてきました。『出産で入院した病院で看護師たちが、日本語話せないから説明しなくていいよ、と言うのが聞こえて不安になった』とか。外国人の友人の多くは、それは仕方がないと言います。でも私は納得できなかった。なぜなら私の知ってる日本はそうではなかったからです。自分でも何かができるはずだと思って退職して、NPO活動に専念しました。外国人住民を助けるだけではなく、日本社会とのつながりにもこだわりました。
私の子供たちは日本と中国の文化を持っています。同じように日本以外のルーツを持つ子は、毎年日本で3万人以上生まれています。その子たちも、この社会をより豊かに、より魅力的にするための希望です。文化と言うと、芸術や伝統文化を思いがちですが、子育ても、医療や教育も、離乳食や塾もみんな文化です。その社会で暮らす人々がつくりあげてきた暮らし方こそ、身に染みた文化です。外国人住民は情報を必要としています。でもそれ以上に、社会から孤立せず、リアルな文化を持つ日本人住民とのつながりを求めています。分断はあってはならない。お互いに自分の文化を伝え、相手の文化を楽しもうではありませんか。
心から胸を打たれました。皆さんのプレゼンテーションが上手だったからでなく、皆さんのその本物の心の勇気、心からの課題認識、そして社会の課題を少しでも良くしようという努力。それも何年も何年も継続している。そういう本物の思いが私たちの心の中に届いたからです。
日本の若い人たちは最近、夢を持たなくなってきた、自分から発信しなくなってきた。皆さんを見ているとどこが違うのだろうか。お話を聞いていて思ったのは、強烈に刺激を受けて強烈に気づく。気づくからこそ何とかしなくちゃという強い思い。それがいまの若い人たちには足りないんじゃないか、と思います。そこで今この協会では、若い人たちに早いうちから気づきの場を提供しようといろいろと取り組んでいます。
今日は大企業のトップの方々もたくさん来ておられます。大企業も、単に利益のために営んでいるわけではない。その利益を社会に役立てるということも大事だが、それよりもっと、社会にある課題を解決することで、企業は持続的に成長していくんだということ。これはSDGsをさらに超えて進んだ考え方だと思っています。ぜひ一緒にやれるところは協力していきたい。今日は、本当にありがとう。
「第11回若者力大賞」
各賞受賞者と審査委員の
集合記念写真